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相続で寄与分が認められる事例

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年3月24日

1 寄与分が認められる可能性がある場合

ここでは、弁護士から見て、寄与分が認められる可能性がある場合についていくつか説明をしたいと思います。

そもそも、寄与分が認められる場合にはいくつか類型があり、家事従事型、療養看護型、金銭出資型、扶養型、財産管理型などがあります。

以下では、代表的なものとして、家事従事型と療養看護型についてご紹介していきます。

2 家事従事型

まず、生前、被相続人の家業に従事し、労務を提供していた場合などは、寄与分が認められる可能性があります。

例えば、実家の農業を長年、無償で手伝ってきた場合などがこの家事従事型に当たります。

この家事従事型の寄与分については、夫婦間の協力扶助義務・親族間の扶養義務を超えて行われたものであり、相当の対価を得ておらず、また、数年間にわたり継続して行われたものであるなどの要件を満たす必要があります。

例えば、被相続人の家業に従事していたにもかかわらず、結婚までは小遣い程度の報酬、結婚後は他の従業員の2~3割程度の月給しか得ていなかった場合に、寄与分認定の余地があるとした例があります(大阪高決平成2年9月19日家月43巻2号144頁)。

こうした事案では、無償または少額での労務提供がなされていることが多く、対価の相当性等が争われることも多いです。

3 療養看護型

相続人が、病気療養中の被相続人の療養看護を行ってきた場合に、療養看護型の寄与分が認められることがあります。

例えば、認知症の被相続人を自宅で付きっ切りで看護をしてきた場合や、病気で寝たきりの状態の被相続人を看護してきた場合に、寄与分が認められることがあります。

本来であれば、被相続人が自らの費用で看護人を雇わなければならないはずであったところ、相続人が療養看護したおかげで、被相続人が看護人の費用を支出せずに済んだとして、寄与分に当たるものと考えられています。

療養看護型の寄与分が認められるためには、夫婦間の協力扶助義務などを超えて行われたものであり、相当の対価を得ておらず、かつ、長期にわたって継続的に行われたものであるなどの要件を満たす必要があります。

とりわけ、夫婦間の協力扶助義務は、他の親族間の扶養義務と比べ、高度のものであるとされているため、配偶者に対する寄与が認められるためには、相当高度な貢献が必要であるとされています。

こうした事案では、被相続人の病状に照らし、どのような療養看護が必要であったかが問題となることが多いです。

介護保険における要介護度などを参照しつつ、主張立証を行う必要があるでしょう。

4 その他の類型

家事従事型や療養看護型以外に、被相続人に対して金銭や不動産などの財産上の給付を行った場合も、特別の寄与に当たるとされることがあります。

例えば、金銭を提供したり、不動産を贈与・使用貸借に供したりする場合がこれに当たることがあります。

他にも、被相続人を現実に扶養したり、扶養料を負担したりした場合、被相続人の財産を管理し、財産の逸出を防いだ場合にも、特別受益に該当するものとされることがあります。

いずれの類型も、寄与分に当たるかどうかが微妙なケースが多いですから、弁護士などの専門家と相談の上、寄与分の主張を行った方が良い場合が多いでしょう。

5 相続人以外の寄与

過去の審判例では、相続人の妻や長男など、相続人と一定の関係にある者が、被相続人の家業に従事したり、被相続人の療養看護に当たったりした場合に、相続人による特別の寄与と同視できるとし、寄与分の主張を認めたものがあります。

例えば、相続人の長男が相続人とともに被相続人の家業に従事した場合や、会社員である相続人に代わって相続人の配偶者が家業である農業に従事した場合などが、この例に当たるとされています。

また、相続人以外の者でも、被相続人の介護等を行ってきた一定の親族は、特別寄与料として、相続人に対して金銭の請求をすることも可能です。

もっとも、特別寄与料は、寄与分以上に認められる可能性が低いです。

そのため、ご生前中に遺言書を残しておくなど、寄与分や特別寄与料の請求に頼らずに、しっかり財産を残しておくことが重要です。

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