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相続分譲渡について

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年6月8日

1 相続分譲渡とは

相続が発生すると、相続人は、被相続人が有していた遺産について、一定の権利をもつこととなります。

各相続人は、遺産分割が完了するまでは、遺産全体に対して、割合的な持分をもっているものと扱われます。

こうした割合的持分を、相続分といいます。

相続分譲渡は、相続人が、このよう遺産全体に対する割合的な持分を、譲受人に対して譲渡することをいいます。

相続についてお調べの方の中には、相続分譲渡がどのような目的で行われるのか疑問に思われる方もいらっしゃると思います。

以下では、相続分譲渡の目的をいくつか挙げてご説明します。

2 遺産の相続手続を行うため

先述のとおり、相続が発生すると、各相続人が遺産に対する割合的な持分を有することになります。

こうした状態を解消し、遺産を相続人のうちの誰かに帰属させるためには、遺産分割協議書を作成して、それぞれの遺産について相続手続を行う必要があります。

特定の相続人がすべての遺産を取得する場合には、遺産分割協議書の代わりに、相続分譲渡証書を作成して、それぞれの遺産についての相続手続を行うことが可能です。

なぜなら、特定の相続人以外の相続人が、特定の相続人に対して相続分を譲渡するとの書類を作成してしまえば、相続分のすべてが1人の相続人に集中することとなるため、遺産分割協議を行うまでもなくすべての遺産の帰属が確定するからです。

このように、特定の相続人がすべての遺産を取得する場合に、遺産の相続手続を行うため、相続分譲渡が行われることがあります。

3 遺産分割協議の当事者を限定するため

ある相続人から別の相続人に対して相続分譲渡が行われると、譲渡した相続人は、遺産全体に対する割合的な持分を有しないことになります。

そのため、相続分譲渡を行った相続人は、遺産分割協議の当事者から外れることになります。

その後の遺産分割協議は、譲渡を受けた相続人と、その他の相続人だけで行うことが可能となります。

このように、ある相続人から別の相続人に対して相続分譲渡を行うことにより、遺産分割協議の当事者を限定することができます。

遺産分割協議は、相続人全員が合意しなければ成立しません。

遺産協議の当事者が多ければ多いほど、遺産分割協議の成立は、困難になることが多いです。

また、一部の当事者が市外に住んでいる場合等、遺産分割協議の当事者が離れた場所に住んでいる場合も、遺産分割協議をスムーズに成立させることが困難になることがあります。

相続分譲渡を行い、遺産分割協議の当事者を限定することができれば、遺産分割協議をスムーズに進めることができるようになる可能性があります。

弁護士が交渉する場合も、遺産分割協議の当事者が多数になるときは、相続分譲渡により遺産分割協議の当事者を限定することがしばしばあります。

4 特定の相続人が遺産分割により取得できる財産額を増やすため

法的には、遺産分割によってどれだけの財産を取得することができるかは、相続分をベースとして決めます。

もちろん、相続人間に争いがなく、相続人全員での合意ができる場合には、相続分をベースとせず、自由に各相続人が取得する財産額を決めることができます。

そうでなければ、相続分をベースとして、各相続人が取得する財産額を決めます。

したがって、ある相続人が有している相続分が多ければ多いほど、その相続人が遺産分割によって取得することができる財産額が増えることになります。

このため、特定の相続人が遺産によって取得することができる財産額を増やす目的で、その相続人に対する相続分譲渡が行われることがあります。

弁護士が交渉する場合も、このような方法により、相続人が取得できる財産額の調整を試みることがあります。

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