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相続の担保責任

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年6月23日

1 担保責任とは

一般には、遺産分割が終了すると、相続の問題が解決したものと考えられます。

しかし、実際には、遺産分割が終了後、相続の対象となった財産について、何らかの問題が存在することが発覚することがあります。

このような場合には、相続人間の公平を図るため、相続人間で一定の利害調整が行われることがあります。

こうした相続人間の利害調整のために、担保責任という制度が存在します。

担保責任が問題になる場合、法的にその主張が認められるかどうかが重要な問題になります。

また、担保責任の主張を行った場合、相手方の相続人がこれに応じるかどうかが問題となることも多いです。

そのため、担保責任が相続において問題となる場合は、弁護士に依頼する必要がある場合が多いです。

2 代表例(他人の財産が遺産分割の対象になっていた場合)

遺産分割が終了した後、相続財産だと考えられていたものが、実際には、他人の財産であることが判明することがあります。

この場合も、原則として、従前の遺産分割全体が無効となるわけではありません(名古屋高決平成10年10月13日判タ999号275頁)。

しかし、何の手当てもしないならば、被相続人の遺産を取得した相続人と、他人の財産を取得した相続人との間で不公平が生じます。

そこで、民法は、このような場合に、相続人相互が、具体的相続分に応じて、担保責任を負うこととしています。

具体的には、次のようになります。

・ 相続人は、妻A、子a、子bである。

・ 具体的相続分率は、妻Aが1/2、子aが1/4、子bは1/4である。

・ 甲土地の価格は、8000万円である。

・ 子bは、妻Aに4000万円の、子aに2000万円の代償金を支払い、甲土地を単独で取得した。

・ 甲土地の半分は、実際は、他人が所有するものであった。

この場合、甲土地については、4000万円の不足分が存在することになります。

不足分について、各相続人は具体的相続分に応じた担保責任を負っていますので、妻Aは2000万円(1/2)を、子aは1000万円(1/4)を、子bに返還しなければならないということになります。

なお、この場合も、遺産でないとされた物件が、遺産の重要な部分である場合などについては、例外的に、遺産全体を再分割することになると考えられています(名古屋高決平成10年10月13日判タ999号275頁)。

3 除斥期間

担保責任に関して、民法では、1年間の除斥期間が定められています。

除斥期間とは、その期間内に権利を行使しなければ、権利が消滅するものとされる期間のことです。

この制度では、消滅時効のような更新の制度がなく、期間も短いため、他人の財産を取得した相続人は、早いうちに担保責任に基づき権利行使をする意思を明確にしなければなりません。問題となるのは、いつから起算して1年以内に権利行使をする意思を明確にしなければならないのかという点です。

この点について、下級審の裁判例には、遺産分割審判に関して、土地が他人の物になっていること、遺産分割がなされ、相続人がその土地を取得するものとされたこと、遺産分割審判が確定したことの、3つを知った時から1年間であるとしたものがあります(大阪高判平成8年7月9日判タ919号230頁)。

4 その他担保責任によって処理される場合

遺産分割により相続人が取得した土地の面積が不足していた場合や、建物が破損していた場合にも、担保責任の規定が適用されます。

これにより、他の相続人に対し、具体的相続分に応じて、不足分・減価分の支払を請求することができます。

また、債権を遺産分割の対象とした場合についても、各相続人は、分割時における債務者の資力を担保するものと定められています。

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